タミータイムの大切さ

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「タミータイム」というとあまり聞き慣れないかもしれませんが、タミータイムとは、うつ伏せ(腹ばい)遊びのことです。生後6ヶ月未満の乳幼児が起きている時に限り、大人が見守る中でうつ伏せで過ごすことをタミータイムと言います。

 

1人目をカナダで出産した時は、小児科医や看護師からタミータイムについて指導を受けました。2人目は日本で出産しましたが、そういえばタミータイムについて、誰にも何も言われなかったなぁ、と思いこちらの論文を読んでみました。

 

Hewitt L, Kerr E, Stanley RM, Okely AD. Tummy Time and Infant Health Outcomes: A Systematic Review. Pediatrics. 2020 Jun;145(6)

 

1992年にアメリカでは、うつ伏せ寝による乳児突然死症候群(SIDS)の発生が多かったことから、「Back to sleep」と呼ばれるキャンペーンが行われ、乳幼児は仰向けで寝ることが推奨されるようになりました。これによってSIDSによる死亡件数は40%程減少しました。しかし、仰向け寝が増加したことにより、今度は運動の発達が遅れたり、頭の形が悪くなるといった問題が発生するようになりました。

 

そこで、アメリカ、オーストラリア、イギリス、カナダ、南アフリカ、またWHOでもガイドラインが作成され、1日30分のタミータイムが推奨されるようになりました。しかし、実際このガイドラインを遵守できている親は約30%、保育関係者では約75%にすぎないようなのです。

 

今回取り上げるのは、16本の論文(計4237人の乳幼児)についての調査をまとめたレビュー論文です。タミータイムの普及を促すべく、タミータイムが乳幼児の健康にどのような効果があるのかをまとめています。

 

まず、タミータイムは、乳幼児の全般的な発達、粗大運動の発達、動く能力(うつ伏せ、仰向け、寝返り、ずり這い、ハイハイ)、短頭症(絶壁)の予防、BMIの低下に好影響を与えるとのことです。 また、問題解決能力といった認知機能の発達、斜頭症の発症、一人歩き、つかまり立ち、お座りといった運動発達についてはタミータイムと中程度の関連が認められました。一方、微細運動やコミュニケーションとの関連はなかったようです。

 

タミータイムは、乳幼児にとって重要な粗大運動の発達を促す効果、また短頭症のような頭の形の歪みを予防する効果があることが明らかになりました。したがって、タミータイムを乳幼児期に積極的に取り入れることはやはり重要だ、というのがこの論文の結論です。

 

ただ一つ押さえておきたいのは、このタミータイムの効果は短期的なものに過ぎないという点です。特に運動の発達については、タミータイムを行わなくても、あとから追いついてくるという報告もあるので、頑張りすぎなくてよいのかなと…タミータイムを行わなくても、問題なく発達していきますものね。ただ、頭の形については取り返しがつかなくなることもあるので、変形の予防のためにタミータイムを取り入れることは大切ですね。

 

次回は、タミータイムの安全なやり方についてまとめていきたいと思います。